※この記事は、2026年7月28日時点の公表資料および報道内容に基づいています。
年収・年金に関する内容は、出入国在留管理庁が正式に公表した改定後のガイドラインではなく、報道されている改定案を含みます。今後の正式発表により、内容や適用時期が変更される可能性があります。
永住許可の年収・年金要件を厳しくする案が報じられました
2026年7月24日夜から25日にかけて、朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、共同通信など複数の報道機関が、永住許可に関するガイドラインの改定案について報じました。
報道によると、出入国在留管理庁は、これまで必ずしも具体的な金額が示されていなかった収入や老後の生活資金について、より明確な基準を設けることを検討しているとされています。
主に報じられているのは、次のような内容です。
- 日本人世帯の平均を上回る水準の収入が継続してあること
- 将来の年金受給見込み額が、一定の収入水準で厚生年金に30年間加入した場合に相当する水準に達していること
- 年金の見込み額が基準に満たない場合、預貯金などの金融資産によって補えるかを確認すること
ただし、2026年7月28日時点で、これらの基準を盛り込んだ新しいガイドラインは、出入国在留管理庁から正式には公表されていません。
そのため、現段階で次のように断定することはできません。
- 「年収が○万円未満なら必ず不許可になる」
- 「日本で厚生年金に30年間加入しなければ申請できない」
- 「すでに申請中の人にも新基準が適用される」
- 「2027年4月から、この内容で確実に運用される」
SNSや一部の記事では具体的な金額も紹介されていますが、それが正式な最低年収として決定されたわけではありません。
現在の永住許可要件
永住許可は、在留資格を持つ外国人が申請すれば当然に取得できる権利ではありません。入管法上の要件を基礎として、法務大臣が申請者ごとの事情を総合的に審査します。
現在の基本的な要件は、次の3つです。
1.素行が善良であること
法律を守り、日常生活においても、住民として社会的に非難されることのない生活を送っていることが求められます。
刑事事件や重大な法令違反だけでなく、交通違反を繰り返している場合なども、審査上の判断材料となる可能性があります。
2.独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日常生活において公共の負担とならず、本人の資産や技能などから、将来にわたって安定した生活が見込まれることが必要です。
現在の公式ガイドラインには、すべての申請者に一律に適用される最低年収額は記載されていません。
実際の審査では、申請者の在留資格、家族構成、扶養人数、収入の継続性、資産状況などを踏まえて判断されます。
なお、日本人、永住者または特別永住者の配偶者や子などについては、入管法上、「素行善良要件」と「独立生計要件」がそのまま適用されない場合があります。
もっとも、この場合でも、婚姻生活の実態、世帯の生活状況、公的義務の履行状況などが審査と無関係になるわけではありません。
3.その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
原則として、引き続き10年以上日本に在留し、そのうち一定期間は就労資格または居住資格をもって在留していることが求められます。
ただし、日本人の配偶者、高度外国人材などについては、在留期間に関する特例があります。
また、税金、年金、健康保険料などの公的義務を適正に履行していることも重要です。
ここで注意したいのは、申請時点で未納がなければ、それだけで十分とは限らないことです。住民税、年金保険料、健康保険料などを、それぞれの納期限までに支払ってきたかどうかも確認されます。
納期限後にまとめて支払った場合、未納自体は解消されていても、適正に公的義務を履行してきたとは評価されない可能性があります。
今回の改正案では何が変わる可能性があるのか?
今回の報道で特に注目されているのは、現在の「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」という要件について、収入や老後資金の目安をより具体的に示そうとしている点です。
年収に具体的な目安が設けられる可能性
報道では、年収について「日本人世帯の平均を上回る水準に継続して達していること」をガイドラインに明記する案が伝えられています。
しかし、「日本人世帯の平均」という言葉だけでは、実際の審査基準は分かりません。
例えば、次の点はまだ正式に示されていません。
- どの統計の平均を使用するのか
- 「平均収入」「平均所得」「平均年収」のどれを基準にするのか
- 申請者本人の年収と世帯全体の収入のどちらを見るのか
- 税引き前と税引き後のどちらの金額で判断するのか
- 扶養する家族の人数によって基準が変わるのか
- 何年間、基準以上の収入を維持する必要があるのか
- 年収が基準に達しない場合、預貯金や配偶者の収入を考慮するのか
- 日本人や永住者の配偶者、高度外国人材などにも同じ基準を適用するのか
したがって、一部で紹介されている具体的な金額を「確定した最低年収」として扱うのは適切ではありません。
「厚生年金30年水準」とは何か
報道されている「厚生年金30年水準」という表現から、「日本で厚生年金に30年間加入していなければ永住許可を受けられない」と受け止めた方もいるかもしれません。
しかし、報道内容を見る限り、実際の加入期間として一律に30年を要求するというより、将来受け取ることが見込まれる年金額が、一定の収入で厚生年金に30年間加入した場合の受給額に相当するかを確認する案とみられます。
その水準に達しない場合には、預貯金などの金融資産で不足分を補えるかどうかも確認すると報じられています。
もっとも、次のような具体的な計算方法は、まだ明らかになっていません。
- 年金の受給見込み額をどの時点で計算するのか
- 日本での年金加入期間が短い人をどのように評価するのか
- 若い申請者の将来の加入見込みをどのように扱うのか
- 海外の公的年金や社会保障協定による期間通算を考慮するのか
- 配偶者の年金や資産を合算できるのか
- 預貯金、株式、投資信託、不動産などをどのように評価するのか
- 住宅ローンその他の負債を資産から差し引くのか
したがって、「加入期間が30年未満だから永住申請はできない」と現時点で判断する必要はありません。
正式なガイドラインが公表された後、その文言や具体的な取扱いを確認する必要があります。
新しい基準はいつから適用されるのか?
適用時期についても注意が必要です。
一部の報道では、ガイドラインを2026年10月1日付で改定し、2027年4月以降の申請から本格的に適用する方向であると伝えられています。
一方、収入に関する基準については、これとは異なる時期から審査に反映される可能性を伝える報道もあります。
しかし、2026年7月28日時点では、出入国在留管理庁から次の事項は正式に公表されていません。
- ガイドラインの正式な改定日
- 新基準の施行日または運用開始日
- どの時点の申請から新基準を適用するのか
- すでに申請中の案件をどのように扱うのか
- 申請受付日と許可・不許可の処分日のどちらを基準とするのか
- 旧基準による経過措置を設けるのか
そのため、「2027年3月までに申請すれば必ず従来の基準で審査される」と考えるのは危険です。
反対に、「すでに申請していても新基準によって必ず不許可になる」と判断することもできません。
今後の正式発表では、改定内容だけでなく、適用対象と経過措置を確認することが重要です。
【確定情報】最長の在留期間に関する取扱いは変更されます
年収・年金の改定案とは別に、永住許可申請に必要な在留期間の取扱いについては、すでに出入国在留管理庁から正式に発表されています。
現在は、在留期間「3年」を持っている場合も、永住許可ガイドライン上の「現に有している在留資格について最長の在留期間をもって在留していること」という要件を満たすものとして扱われています。
この取扱いは、2027年4月1日に変更されます。
以後は原則として、申請者が持つ在留資格について定められた最長の在留期間をもって在留していることが必要になります。多くの在留資格では、最長の在留期間は「5年」です。
3年の在留期間を持っている人への経過措置
2027年3月31日時点で在留期間「3年」を持っている人については、経過措置があります。
出入国在留管理庁の公表内容によると、その3年の在留期間内に永住許可申請について処分を受ける場合には、初回に限り、「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱われます。
注意したいのは、単にその在留期間内に申請すればよい、とされているわけではないことです。公式の記載は「当該在留期間内に処分を受ける場合」となっています。
永住許可の審査中に現在の在留期間が満了する可能性がある場合には、この経過措置を利用できるか、申請時期を含めて慎重に確認する必要があります。
永住を検討している人が今から確認できること
年収・年金に関する新基準の内容が確定していなくても、現在の審査で重要とされる事項について準備を進めることはできます。
税金や社会保険料の納付状況
次の支払いについて、未納だけでなく、納期限後の支払いがないかも確認しておきましょう。
- 住民税
- 所得税
- 年金保険料
- 健康保険料
- 事業を経営している場合の法人税や社会保険料など
口座振替や納付方法を見直し、今後の支払いが遅れないようにすることも大切です。
収入と雇用状況
継続した収入を証明できるよう、次のような資料を整理しておくとよいでしょう。
- 課税証明書、納税証明書
- 給与明細、源泉徴収票
- 雇用契約書、在職証明書
- 転職、休職または収入減少の経緯を説明できる資料
- 個人事業主や会社経営者の場合は、確定申告書や決算書
転職や一時的な収入減少があるだけで、直ちに不許可になるとは限りません。ただし、その理由や今後の生活の安定性を説明できることが重要です。
年金と資産の状況
「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」などで、これまでの加入記録や将来の年金見込み額を確認しておきましょう。
あわせて、預貯金その他の資産を説明できる資料も整理しておくと、今後、新しい基準が公表された際に対応しやすくなります。
現在の在留期間
在留カードを確認し、現在の在留期間が1年、3年、5年などのいずれであるかを確認しておきましょう。
特に在留期間「3年」の方は、2027年4月1日からの取扱い変更と経過措置に注意が必要です。
報道を見て、今すぐ申請した方がよいのか?
報道だけを見て、準備が整っていない状態で申請を急ぐことはおすすめできません。
永住許可は、在留年数だけで決まるものではありません。収入の安定性、公的義務の履行状況、家族関係、在留状況、法令違反の有無などを総合的に審査されます。
必要な条件を満たしていないまま急いで申請しても、よい結果につながるとは限りません。
一方、すでに現在の要件を満たしている可能性があり、税金や社会保険料の納付状況にも問題がない場合は、正式な改定を待つべきか、現在の段階で申請を検討するべきか、早めに状況を整理する意味があります。
重要なのは、報道された数字だけで判断せず、自分の在留資格、在留期間、収入、扶養家族、公的義務の履行状況などを個別に確認することです。
まとめ
2026年7月、永住許可の審査について、日本人世帯の平均を上回る収入や、将来の年金受給見込み額に関する基準を設ける改定案が報じられました。
ただし、2026年7月28日時点では、年収・年金に関する新しいガイドラインは正式に公表されていません。
現時点の情報は、次のように整理できます。
- 年収・年金に関する具体的な新基準は、現時点では報道されている改定案である
- 現在の公式ガイドラインには、すべての申請者に一律に適用される最低年収額は記載されていない
- 「厚生年金30年水準」は、実際に日本で30年間加入することを一律に求めるものとは限らない
- 新基準の適用日や、申請中の案件に対する経過措置は正式に公表されていない
- 2027年4月1日から「最長の在留期間」を求める取扱いに変更されることは正式に発表されている
- 2027年3月31日時点で在留期間「3年」を持つ人には、一定の経過措置がある
- 税金、年金、健康保険料などを納期限までに支払うことの重要性は、現在も変わらない
今後、出入国在留管理庁から新しいガイドラインが公表された場合は、報道内容との違い、具体的な基準額、適用時期、経過措置などを改めて確認する必要があります。
永住許可申請をご検討の方は、現在の在留状況、収入、扶養関係、税金・社会保険料の納付実績などを確認したうえで、申請時期や必要な準備についてご相談ください。
在留資格でお困りの方はユックス行政書士事務所へ
ユックス行政書士事務所では、日本にお住まい または 住む予定の 外国人の皆さまをサポートしております。
- 在留資格のご相談と申請
- 市区町村への手続き支援
- 就職や転職時の「雇用契約書」チェック
などを対応しておりますので、お気軽にご相談ください。
京都市下京区を拠点に、在留資格申請・補助金申請支援・太陽光発電関連手続き等のサポートを行っております。
ご相談は お問合せフォーム よりご連絡ください。
「行政書士又は行政書士法人でない者が、業として他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類を作成することは行政書士法違反」になりますので、行政書士でない業者への申請代行依頼はご注意ください。
